ニュージーランドの賃貸不動産を個人名義で保有すると、手続きがシンプルでコストも抑えられます。一方、会社またはlook-through company(LTC:ルックスルー会社)を使うと、保有形態の整理、資産保護、異なる税率といったメリットがあります。最適な選択は、ご自身の所得、他の投資状況、そしてどのくらい長く保有する予定かによって変わります。
2つの選択肢の概要
ニュージーランドで居住用賃貸物件を購入する場合、個人名義(ご自身の名義、またはパートナーとの共有名義)で保有することも、通常の会社やルック・スルー会社(LTC)などの法人・事業体を通じて保有することもできます。いずれの方法も合法で一般的ですが、適したオーナーのタイプが異なるだけです。
- 個人名義 — 物件とその収入は、ご自身のIR3(個人所得税申告書)に含めて申告します。賃貸利益はご自身の限界税率で課税され、損失が出た場合はリングフェンスされ、将来の賃貸収入と相殺するために繰り越されます。
- 通常の会社 — 物件は別個の法人格の中で保有され、その会社がIR4(会社所得税申告書)を提出し、利益に対して一律28%の法人税を支払います。会社からご自身へ資金を移すには、別途手続きが必要です。
- ルック・スルー会社(LTC) — 法律上は会社ですが、税務上は透明な扱いとなるため、収入や(一定の制限内で)損失が、ご自身が直接物件を保有しているかのように個人へ帰属します。
大まかな判断軸は、シンプルさとコストを重視するか、仕組み・保護・柔軟性を重視するかです。唯一の正解があるわけではありません。
また、何が変わらないのかを理解しておくことも大切です。どの選択肢を選んでも、受け取る家賃は課税対象であり、物件運営にかかる費用は控除可能で、ブライトライン期間内に売却益が出た場合は課税されます。保有形態によって変わるのは、税率、書類対応、そしてこれらのルールを取り巻く保護のあり方です。ルールそのものがなくなるわけではありません。
税務上の取り扱いの比較
税務上の結果が判断の決め手になることが多いため、それぞれの選択肢がどのように課税されるかを正確に押さえておくことが大切です。
| 項目 | 個人名義 | 通常の会社 | LTC(ルック・スルー会社) |
|---|---|---|---|
| 利益に対する税率 | ご自身の限界税率(最大39%) | 一律28% | ご自身の限界税率(所得が個人に帰属) |
| 提出する申告書 | IR3(個人所得税申告書) | IR4(会社所得税申告書) | IR4に加え、ご自身のIR3へ反映 |
| 賃貸損失のリングフェンシング | ご自身に適用 | 会社内で適用 | 個人に帰属するが、引き続きリングフェンシングの対象 |
| 売却時のブライトライン | 適用 | 適用 | 適用 |
賃貸損失のリングフェンシングとは、居住用賃貸物件の損失は通常、給与所得、事業所得、その他の所得と相殺できず、将来の賃貸所得と相殺するために繰り越される仕組みです。これはどの保有形態を選んでも適用されるため、会社を使ったからといって、賃貸損失を本業の給与所得から差し引けるわけではありません。
ブライトライン・テストでは、購入後の該当期間内に居住用不動産を売却した場合、その値上がり益に課税されます。個人と同様に、会社やLTCにも適用されます。保有形態を変えても適用がなくなるわけではなく、ご自身と会社との間で不動産を移すこと自体が譲渡とみなされ、新たな期間の起算点になる場合もあります。
注意しておきたい細かな点として、利息控除があります。居住用賃貸物件の借入利息を控除できるかどうかのルールは近年変更されており、保有する「箱」ではなく、その不動産と取得日に基づいて判断されます。したがって、賃貸物件を会社に移しただけで、本来認められない利息控除が復活するわけではありません。この分野はこれまで複数回変更されているため、当社では必ず、お客様の物件ごとに最新の取扱いを確認しています。
コストとキャッシュフロー
個人名義で保有する方法は、明らかに最もコストを抑えられます。会社として別途会計帳簿を作成する必要がなく、Companies Office(会社登記機関)への年次申告も不要で、会計士報酬も事業体が1つ少ない分だけ軽くなります。損益がほぼトントンの賃貸物件を1件だけ保有する場合、このシンプルさは大きな強みです。
会社またはLTC(ルック・スルー会社)にすると、毎年のコンプライアンス対応が増えます。別途IR4(法人所得税申告書)の提出、財務諸表の作成、Companies Officeへの年次申告が必要です。キャッシュフロー面で大きく違うのは、会社税率が一律28%である点です。高所得者の場合、通常の会社内で利益に28%課税される方が、個人で33%または39%課税されるより軽くなります。ただし、それは利益を会社から引き出すまでの話で、引き出した時点で残りの税額が発生します。LTCでは、利益は結局ご自身の個人税率で課税されるため、税率面での節税効果はありません。
数字でシンプルに言えば、ストラクチャーによる節税が成り立つのは、利益を会社税率のまま無理なく会社内に留保できる場合だけです。赤字運営または損益トントンの賃貸では、守るべき利益がほとんどないため、会社を使う方法は主にコスト増になりがちです。
会社から利益を取り出す際の問題もあります。利益を28%で留保しても、残りの税金を先送りしているだけです。配当または株主給与として引き出すと、その時点でご自身の個人税率との差額を支払うことになります。家賃収入を生活費として使う大家さんの場合、この繰延べメリットはほぼなくなります。そのため、会社税率のメリットが効くのは、実際に資金を会社内に残せる高所得者であり、それ以外の場合には効果はごく限定的です。
リスク管理と事務手続き
会社を使う最大の理由は、税務であることは多くありません。むしろ、有限責任を確保し、個人資産と賃貸物件との線引きをより明確にできる点です。物件にリスクがある場合、または複数の物件を保有している場合は、別法人にすることで、そのリスクを自宅や預貯金から切り離して管理できます。LTC(ルックスルー会社)であれば、同じように法的な分離を保ちながら、税務上は所得を持ち主側に通す取扱いを維持できます。
ただし、その保護には実務上のコストが伴います。会社は会社として記録を整え、期限内に申告し、会社のお金と個人のお金の線引きを守る必要があります。資金を誤った方法で引き出すと、当座勘定の貸越や利息負担が発生することがあります。個人名義で保有すれば、こうした手間は避けられますが、その代わりに責任を遮断する仕組みはありません。
どのオーナーに何が適しているか
- 賃貸物件が1件で、所得が控えめ、長期保有の予定 — 通常は個人名義のほうが、コスト面でもシンプルさの面でも有利です。
- 個人所得が高く、利益を内部留保できる — 資金を会社内に残せる場合は、通常の会社の28%税率が役立つことがあります。
- 税務上は所得を通過させつつ、法的には分離したい — LTCがその中間的な役割を果たします。
- 複数の物件がある、またはリスクの高い賃貸契約がある — 資産保護のためのストラクチャーは、多くの場合、管理負担に見合います。
ブライトラインの期間と損失のリングフェンシングは、どのストラクチャーに移しても引き継がれるため、最も避けたいのは、後から変更して意図しない処分扱いを引き起こしてしまうことです。購入時に意図を持って選ぶほうが賢明です。
まずはお気軽にご相談ください
初めて賃貸物件を持つ方の多くにとって、正直な答えは「個人名義で十分」です。ポートフォリオや所得が大きくなって初めて、会社などのストラクチャーに見合うメリットが出てきます。実際の数字をもとに、個人名義とストラクチャー利用の両方を比較し、ブライトライン・テストや損失リングフェンシングに関する落とし穴がないか確認したうえで、どちらが適しているかを率直にお伝えします。
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これは一般的な情報であり、個別の税務アドバイスではありません。状況によって扱いが異なる場合がありますので、当社にご確認いただくか、ird.govt.nzをご確認ください。
わかりやすく言うと:所得が高い、物件数が多い、または実際のリスクがある場合を除き、追加コストをかけて会社やLTC(ルックスルー会社)を使うより、個人名義で保有するのが基本です。
これは一般情報であり、個別の税務助言ではありません。詳しくは 免責事項全文.