個人事業主、会社、またはルック・スルー会社(LTC)のどれを選ぶかによって、税率、個人として負う責任、そして必要な事務作業の量が変わります。ここでは、ニュージーランドにおける3つの事業形態の違いと、それぞれどのような事業主に向いているかを解説します。
3つの事業形態の概要
ニュージーランドの小規模事業は、通常、次の3つの事業形態のいずれかに当てはまります。外から見ると似ているように見えますが、税務上の扱いやリスクの面では大きく異なります。
| 事業形態 | 内容 | 所得の帰属先 |
|---|---|---|
| 個人事業主 | ご自身のIRD(ニュージーランド内国歳入庁の税務番号)で事業を行います。別個の法人格はありません。 | ご自身個人に帰属します。利益はご自身の所得となります。 |
| 会社 | ご自身が株式を保有する、独立した法人です。 | 会社に帰属します。会社から給与または配当として支払われます。 |
| ルックスルー会社(LTC) | 税務上「ルックスルー」として扱われることを選択した会社です。 | 株主に、その持分割合に応じて帰属します。株主が直接得た所得であるかのように扱われます。 |
個人事業主は最もシンプルで、事業開始時に最も一般的に選ばれる形態です。会社にすると、法的な保護と一律の税率が加わります。LTCはその中間的な形態で、外形上は会社ですが、利益、そして重要な点として損失も、オーナー個人の申告に反映されます。
税務上の取扱いの比較
ここが、3つの形態で最も大きく違う点です。
- 個人事業主: 利益は、所得が増えるほど税率が上がる個人の累進税率で課税されます。事業と本人が分かれていないため、業績が良い年には、より高い税率区分に入る可能性があります。
- 会社: 利益には、会社税率として一律28%が課税されます。その後、株主給与として資金を受け取る場合は個人税率で課税され、配当として受け取る場合は、会社がすでに支払った税額に対応するインピュテーション・クレジットが付くため、同じ所得が二重に課税されることはありません。
- LTC(ルック・スルー会社): 会社段階での課税はありません。利益も損失も株主にパススルーされ、個人事業主に近い形で、各株主の個人の累進税率で課税されます。ただし、法的には会社という器の中で運営されます。
要点は、高い利益水準では、会社税率の28%が個人の最高税率より低くなる場合があり、これが事業が成長した段階で会社化を検討する理由のひとつだということです。ただし、そのメリットが実際に生じるのは、利益をすべて引き出すのではなく、会社にきちんと残す場合です。全額を引き出せば、最終的には個人税率で改めて課税されることになります。
よくある誤解についても、はっきりさせておきましょう。会社税率の28%は、そのまま得になる「割引」ではありません。利益をすべて給与や配当として引き出す場合、結局は個人税率で課税されます。本当のメリットが出るのは、再投資、資金的な余裕の確保、または年ごとの所得の平準化のために、利益を会社内に残せる場合です。その間は、引き出すまで28%で一度課税されるだけです。毎年すべての利益を分配する事業では、この税率上の優位性はほとんどなくなります。
責任とリスク
税金だけで全体が決まるわけではありません。多くの場合、事業形態を左右するのは責任の範囲です。
- 個人事業主: 法的な区分がありません。事業で借入金が発生したり訴えられたりした場合、個人資産がリスクにさらされます。
- 会社: 独立した法人格を持ちます。一般的には、リスクは出資した範囲に限定されます。ただし、無謀な取引や借入の個人保証などの場合、取締役が個人責任を負うことがあります。
- LTC(ルック・スルー・カンパニー): 会社の有限責任という枠組みを保ちながら、税務上は利益や損失をオーナーに帰属させます。会社としての法的な分離と、個人事業主に近い税務上のフロースルーを組み合わせた形です。
大きな契約を結ぶ、在庫を持つ、従業員を雇うなど、事業に実質的な金銭的リスクがある場合は、税額の計算結果にかかわらず、会社またはLTCの有限責任が決め手になることがよくあります。
コンプライアンス対応費用
保護の強化や税務プランニングの幅が広がる一方で、事務手続きも増えます。
| 事業形態 | 一般的なコンプライアンス対応 |
|---|---|
| 個人事業主 | IR3(個人所得税申告書)の提出。事務負担が最も軽く、会計コストも最も低くなります。 |
| 会社 | 年次財務諸表、IR4(法人所得税申告書)の提出、Companies Office(会社登記局)への届出、株主記録の管理が必要です。事務負担は最も大きくなります。 |
| LTC | 会社としての各種申告に加え、損益を株主へ配分するためのルックスルー計算が必要です。事務負担は中程度から高めです。 |
小規模でリスクの低い事業の場合、会社化による追加コストが税務上のメリットを上回ることがあります。一方で、利益やリスクが大きくなるにつれて、その判断は逆転します。最適な答えは、保護と節税効果が事務負担に見合う地点であり、その地点は事業ごとに異なります。
どのオーナーにどれが適しているか
一般的な目安としては、次のとおりです。
- 個人事業主(Sole trader)は、これから事業を始める方、副業、またはシンプルさを最優先したい低リスクのサービス業に向いています。
- 会社(Company)は、すでに利益が出ている事業で、有限責任を確保したい、利益を会社に残したい、または将来的にパートナーや投資家を迎える予定がある場合に向いています。
- LTC(Look-through company/ルックスルー会社)は、会社としての法的な保護を持ちつつ、初期段階の損失を他の所得と相殺したいオーナーに向いています。不動産やスタートアップの一部ではよく検討される形態です。
これらはいずれも永久に固定されるものではありません。多くの事業は個人事業主として始まり、利益やリスクの状況から法人化が適切になった時点で会社に移行します。重要なのは、早すぎず(不要な事務コストを負担しない)、遅すぎず(本来切り離せたはずの個人リスクを抱え続けない)、適切なタイミングで変更することです。
具体例で考えると分かりやすいです。利益がまだ控えめで、リスクも小さい請負業者であれば、通常は個人事業主が最適です。シンプルで費用も抑えられ、個人税率で課税されるため、結果的に28%より低くなる場合もあります。同じ請負業者が3年後に大きな利益を上げ、より大きな契約を結び、一部の利益を事業内に残したいと考えるようになった場合、法人化する明確な理由が出てくることが多いです。仕事内容が変わったわけではありません。数字とリスクが変わったのです。
まずは私たちにご相談ください
最適な事業形態は、数字、リスク、そして今後の方向性によって変わります。こうした点は、短いお打ち合わせでかなり早く整理できます。利益、責任リスク、今後の計画を確認したうえで、どの形態が合っているか、また現在の形態が合っていない場合はいつ切り替えるべきかを、わかりやすくお伝えします。
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これは執筆時点の一般情報であり、個別の税務アドバイスではありません。状況によって取扱いが異なる場合があります。実行前に、当社へ詳細をご確認いただくか、ird.govt.nzをご確認ください。
わかりやすく言えば、個人事業主は最もシンプルです。会社は事務負担が増える一方で、一律28%の税率と有限責任が得られます。LTCは、会社という枠組みを維持しながら、利益と損失を個人に帰属させることで、その中間的な仕組みになります。
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